手のほどこしようのないボケを修正する

どうしようもないほどボケたものを、なんとか修正して、ある程度見れるようにして納品しなきゃならない。そんなピンチの時は、どうすりゃいいのよ。
そんな事がおととしの年末クソ忙しい時にあった。
原因はフジのカメラ修理ミスなのだが(1年間抗議しつづけたが、結局責任を認めなかった)、こっちは客商売である。そんなことは言ってられない。
平均睡眠時間3時間、都合300カット以上やってみて、ひとつ有効そうなパターンを見つけた。

まあ、こんな感じのものを、なんとか見られるようにしようというわけだ。
ちなみに、普通にアンシャープマスクをかけると

こんな感じになる。とても商用としては通用しない。
だいたい、アンシャープマスクは境界線の輝度を強調することによって、シャープをかけようというフィルタなわけで、これだけボケてるとどうしようもない。



じゃぁ、ボケてるってどういう状態なの?

ピンが来てないということは、色と色の境界があいまいになっているというこで、
輝度にも差が少なくなっているということ。
ぼかす前の直線を重ねてみるとわかるけど色がはみ出して、なおかつ輝度が落ちてる。

ということで全体的にのっぺりしてるということだから、このぼけて拡散してる境界線を両側から詰めて、拡散してる部分を埋めてやる。
そして境界線自体のコントラストを少しだけ上げると

こうなる。
このへんまで来れば、なんとか「ソフトをかけすぎちゃったんです~」という状態にもってこれるわけで、カリッとピンを合わすのは不可能にせよ、まあまず許せそうなレベルではないかと思う。

  

     使用前            手修正         アンシャープマスク

実際問題として、人の顔の場合は直近の色を拾って塗る(焼いたプリントの拡大率は、ディスプレイで見る時の拡大率より遙かに小さいので、べた塗りしすぎなければそれで十分いける)という事が多い。
だから、瞳の色のつきかたや、まつげ、まゆげがどうなっているか。
頬のしわに光が当たった時の陰の付き方など、正常な画像と見比べて、なるべくそれに近づける事が非常に大事だ。
ポイントは、目は最重要としても、鼻の輪郭線、特にシャドウ側の外側の輪郭と、鼻の穴にできる陰をパリッとさせる。そしてアゴ、さらに耳の内側、唇のエッジ、歯の隙間にできる陰。このあたりに気をつければ、全体的な印象として、ピントが合ってるように見える。また、ハイライト部分には積極的にライトの反射を入れるのもアリだ。

それと、気をつけなきゃいけないのは、顔のパーツの原型を絶対に崩さない事。
人の記憶は曖昧なようでいて、意外と鋭い時がある。よく見てる人間の顔の印象もそうなので、ちょっとでもパーツの原型が崩れてるとき、「ん?」と思われたらそれでアウトだ。ほんのかすかにでも「おかしいな?」と思われたら、今度は顔を近づけられてしげしげと観察される。

違和感のない、可能な限り気づかれない修正。
そのためには、人間の造形・陰の付き方・記憶に作用する人間の顔のポイント。
そういった物の知識が必要だ。そのためには、ひたすら観察するしかない。

それよりなにより、失敗しない撮影。それこそ重要であるのは言うまでもないが…(笑)

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