日本の核武装議論2

前回のエントリではsemiさんに熱心にコメントをつけていただいたが、HairFairがらみで手が離せなかった事もあり、後ほどコメントしますと書いておいてしばらく忘れてました。すみませんでした。
議論を始めたからには、始めた側が責任を持って最後までやらないといけないので、改めてエントリを起こすことにしました。とはいってもこれから忙しくなるので、どの程度議論を続けられるかは不透明なんですけどね(^^;できるだけ頑張ります。
前回のエントリはこちら
日本の核武装議論 (不定期雑文@疾風部)

今回は、コメントに応える形でのエントリになります。

論点が枝葉末節に拡散してるようなので、本論に立ち返りたいと思います。

そのまえに、

> 地政学のみ…では戦争は論じれないかもしれません。
> 経済だけでもダメですし、宗教だけでもダメですしw
もちろんそうです。全面的に同意します。
前回のコメントで地政学を強くプッシュしたのは、地政学なんて古くさいという点に反論したにすぎないので、私も他の要素を軽視しているわけではありません。
他にも民族問題とか、歴史的な背景とかいろんな要素があって、世界情勢は動いていくのは間違いない。
そういえば、EUはロシアの天然ガスに頼っているので、NATOの枠組みよりも、そちらの方を優先しそうですね。
結局外交というのは昔と変わらずパワーゲームなわけで、軍事力もただの1ファクターにすぎないけど、裏を返せば軍事力がなければ国益を守れない時もあるということですね。

というわけで、核武装について話す時は、国益を考えてベターな策を取る必要があります。
ちなみに、私は核武装賛成です。
その理由は、通常軍備と比べてきわめて安価で同等以上の抑止力を得られるからで、外交時の国益という点で考えるのであれば、通常軍備を必要以上に拡充するよりも楽に外交のための軍事背景力を得られるからです。
それに対し、通常軍備を増強する場合、機動艦隊、海岸線のレーダーの入れ替えと増設、警備の強化、徴兵制の導入、軍需産業の整備、武器輸出三原則の撤廃、基地の増強、訓練費の拡大等々が必要です。アメリカが進めているハイテク兵器による人員削減を最初から導入するにしても、人員増強は避けられない。
平成20年度防衛白書の防衛費使途別内訳によると、人件費・糧食費が全体の44.2%を占めるのに対し、装備品等購入費はわずか17.1%にすぎません。
通常軍備の増強を図る場合、装備品購入費が跳ね上がるとともに人員も増強しなければならず、予算的には苦しい事になりそうです。GDP1%以内には収まらないのは、まず間違いありません。
まあ1%には収まらなくても別にいいとはいえ、どちらにしても予算は大幅に拡大することになると思われます。
しかも、中国のような無法国家を相手に、通常軍備の増強がどこまで外交に使える軍事背景力となりうるかは未知数です。
ただ、MDの迎撃率が80%程度あって、揚陸部隊を阻止できる海軍力と制空力、それと諜報能力と、仮に都市を占領された時に奪還できるだけの陸軍力があれば、通常軍備のみでも十分かもしれない。結局全部ですね^^;

詰まるところ、核武装するかしないかはパワーバランスの問題ですので、相手国の核ミサイルが無効化できる(可能性が高い)時は、核発射のリスクは政治的リスクの比重が高くなります。
そのため、乱暴にザックリと言ってしまえば、MD大量配備で核の脅威を相殺できれば、外交時の軍事背景力的には核の脅威の問題が無くなるのではないかと思うわけです。

しかしながら、MD大量配備は予算さえ取れれば現状でもできてしまうため、国民の意識は変わらずぼんやりしたままでも可能でしょう。
長期的に見た場合、国民の意識改革が進まなければ、世界の中の日本の立ち位置を気にする事がないまま、危機のたびにつぎはぎを当てるような場当たり的な国になってしまうことが心配です。
そう言った意味で核武装するしないにかかわらず、核武装について議論をすることで、今の日本はどういう状況に立っているのかという共通認識を持つ事に、大きな意味があるのではないかと思うわけです。

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